READYFOR の CTO をしている町野です。記念すべき READYFOR Tech Blog の初回担当を拝命しました。
私たちは、クラウドファンディングサービス「READYFOR(レディーフォー)」の開発、運営をしています。クラウドファンディング (Crowdfunding) とは、インターネットを通じて多くの方々から資金調達(ファンドレイジング)をするための仕組みです。社会貢献活動資金から研究開発資金、事業立ち上げ資金まで、様々な資金需要を支えるプラットフォームとなっています。
READYFOR は、2011年3月にローンチした国内初のクラウドファンディングサービスで、スタートアップ企業としては長いことやっている部類に入るのですが、「どんな技術でどんなプロダクトをつくっているか」ということはあまり知られていないんじゃないかと思います。私(町野)自身、参画するまでは READYFOR に対して「テクノロジー」のイメージは持てていませんでした。
実際、エンジニアが人数的にも割合的にも少ない期間が長く、対外的に技術発信をする余裕も文化もなかったのですが、今やメンバーから自発的に「我々もテックブログを早く始めたい!(から、CTO は早く1記事目を書け!)」という強い声が上がるほどに、どんどんエンジニアリング組織として強くなってきています。とってもうれしいので、「テックブログ開設」という今日のよき日に至る、この1年の取り組みを簡単に紹介させてください。
CTO としての初期ミッション
ずっとスタートアップ業界に身をおいていた自分は、「想いが乗ったお金を流れを増やす」 という READYFOR のミッションに強く共感して、2019年1月に CTO としてジョインしました(当時 CTO ポジションは存在せず)。
その頃は、2011年から拡張され続け大きなモノリスとなった Rails アプリケーションを数人のエンジニアでどうにか維持している状況で、技術的にはお世辞にも「イケてる会社」ではなかったのですが、逆をいえばテクノロジーによる伸び代がメチャクチャ残っている訳で、この会社で技術経営を担ったら絶対おもしろいなと思いました。
入社直後に行った経営合宿では「10年後の READYFOR」というワクワクする大きな未来を夜通し語らいつつも、最初の経営会議で共有した「CTO の初期ミッション」は以下のようなものでした(原文ママ)。
## 初期ミッション:基礎固め 【READYFOR をテックカンパニー化することで、既存事業を加速させ、新規事業に素早く挑戦できる組織およびシステムの基礎を構築する】 * テックカンパニー化 * テクノロジーの力によって事業全体がブーストされている状態 * 全社的な取り組みであり、エンジニア部門に限るものではない * 既存事業を加速 * マンパワーに律速されない、プロダクト自体の強化 * 継続的改善を行うためのシステム/ワークフローの構築 * 新規事業に素早く挑戦 * 不確実性の高い事柄に対し素早い意思決定ができる状態 * 素早い仮説検証が可能なプロジェクト体制の構築 * 組織およびシステムの基礎 * 上記を実現するための組織再編 * 上記を実現するためのシステム再構築 ## 2019年1月のアクション * ヒアリングの実施 * 事業/組織の現状を複数視点から把握する * エンジニアチームに限らず全部門の話を聴く * 組織に根付いている価値観の把握 * 業務における強みや課題の把握 * テックビジョンの共有 * テックカンパニー化する意義を社内全体と共有 * スタートアップとして求められる成長、俊敏さ * お金を預かる事業者として求められる信頼、慎重さ * どうした価値観と体制によってそれらを実現していくか * 社内情報体制の整備/周知 * 社内情報を効率的に整理し、必要な情報を Pull できる状態 * オープンコミュニケーションの徹底(透明性) * 誰もが気軽に情報発信できる組織文化(心理的安全) * お金を扱う企業としての情報セキュリティ体制(社会的責任) ## 2019年1~3月のアクション * 組織再編案の策定 * セクショナリズムを防ぐ体制にする * 職種で役割を縦割りしないプロジェクト体制 * プロダクト部門の再定義 * Product Manager / Project Manager / Scrum Master / Engineer / Designer * 各々が自分の役割/責任範囲を認識する * 目標管理制度の整理 * OKR の意義の周知と運用方法の改善 * 1on1 を通じ、会社側と社員側のキャリアパスをイメージを揃える * 採用戦略/ポリシーの策定 * 今取るべき人材の定義、採用戦略 * 採用基準として全社的に大切にするべき価値観 * システム再構築の方針決め * 単発的な随時タスクを全体の○○%以下に抑える * 既存システムのリファクタリング/新システム基盤の設計
「今後、大きなことに挑戦していくためにも、まずはバケツの穴を塞ごう。」
そんな話を(エンジニアは数%しかいない)全社ミーティングで話しつつ、既に進んでいた新規機能開発をストップし、社内受託開発のようになっていた開発体制を見直し、エンジニアが主体的にプロダクト開発に関わる体制にしていきました。
採用、採用、採用!
「基礎固め」の次のフェーズでは、とにかく採用に多くの時間を使っていました。組織づくりにおいて、最初にどんな人が旗を振るかはとても重要です。単純にエンジニアリソースも足りませんでしたが、なによりもまず、一緒に組織をつくっていけるメンバーが必要でした。
「技術力だけでなく組織視点も持ち合わせ、他部門にリスペクトを持ち、力強く自走できるメンバーじゃないとダメ!」と、採用担当者を困らせつつも、妥協しない採用活動を粘り強く続けていました。
その結果、VPoE として入った id:itohiro73 をはじめ、素晴らしいメンバーがどんどんジョインしてくれました。Engineering Manager, Backend Engineer, SRE, Corporate Engineer, Product Designer, etc. 各領域の専門性を持ちつつも、みな「良い組織をつくりたい」という想いの強いメンバーです。
(ちなみに、まだまだ絶賛採用中なので、興味ある方はぜひご一報を)
「乳化」が進む READYFOR のエンジニアリング組織
READYFOR では、よく「エンジニアの乳化」という言葉を使います。卵を入れると水と油が混ざり合ってマヨネーズが作れるようになる、あの「乳化(にゅうか)」です。
私たちが「テックカンパニー化」というとき、それは「エンジニア/非エンジニア」と職種で線引きして単純にエンジニアの数を増やすことでは決してなく、エンジニアリングが組織全体に広がっている状態になることです。
クラウドファンディングのプラットフォームとして様々な種類のお金の流れを扱う READYFOR では、プロジェクト審査や支援金の会計処理など、多くの業務オペレーションがシステムと密接に繋がっています。それを支えるためにはエンジニアが各組織部門に乳化していくことがとても重要で、それによってオペレーションの卓越性が高まっています。
おわりに
そんな READYFOR のエンジニアリングチームが開設したテックブログ、今後の記事をお楽しみに!
就活ではよく「潤滑油のような人」という言葉が使われるそうですが、弊社は「乳化剤のような人」を募集中です。